カゼマイトイレ-2

TOTOリモデルコンテスト2004テーマ別最優秀賞


敷地:福岡県福岡市南区高宮
用途:
住宅→住宅<改装>
延床面積:トイレ面積1.8平米 
構造形式:木造2F建(既存)
内壁+天井:漆喰仕上げ(ボード下地)
床:自然石15t
設備:ノータンク大便器
工期:2003/8〜/9
工事費:約110万円(トイレ部分:消費税込み:設計料別途)
設計担当:上林泰子
施工:建築巧房

 

 

日本人は、トイレを美しい空間につくるのが得意でした。そこは日々の生活の中で、決して長い時間を過ごす場所ではなく、また、放っておけばたちまち不潔になる場所でもあります。私たちは、すまいにおける「負」の場所をなおざりにせずに、却って美しく、清潔に仕立て上げる工夫を懲らしてきました。「その家の品格は便所に現れる」とはよく言ったものです。この金科玉条は、毎日使っていてどうしても気になるという人々の総意が作り上げたのだと思います。厠と言われていた時代から時代は進み、水洗便所へ、そして未だに衛生機器は進歩を続け、かつてのトイレとは全く様相を異にしていますが、日本人の美意識が他のどこよりもまして、住まいの面積の僅か1/80を占めるトイレに注がれることこそが、時代を超えて変わらない部分=不易なのだと思います。

1.漆喰による空間
施主の期待の大部分は漆喰に対するものでした。その漆喰がアンモニアを分解する性能をもっていることは、私共が漆喰のトイレを繰り返し作り続けてきた大きな理由でした。設計者自身のトイレで2年程様子を見た後、実用性があるとして、新築、改築に対して漆喰のトイレを繰り返してきました。使用者からは、筆者の体感と同じく、数年経過しても無臭だという声を戴きました。芳香剤が不要である以上に、むしろその香りすらもこの空間の中では強すぎると感じるほどの無臭空間です。

2.卵の殻の中で風が舞うような風景
排泄という切なる現実を受け入れつつも、いかに豊かな時間に替えていくか。日常を過ごすすまいの中でトイレぐらいは現実を忘れさせる瞬間であってほしい。その瞬間とは空間が与えることができるという考えから、四角四面の箱ではなく、卵の殻の内側に入るような空間を構想しました。その内壁は、漆喰が僅かな波をつくり、それが、天井に穿たれた風穴に向かって舞い上がっていくという、非現実の表現です。

3.清楚さ
動きがあるといっても室内がうるさくなっては、営みに集中できません。可能な限り用いる素材の数を少なくし、色の数を少なくし、便器をコンパクトな物とすることにより、異空間でもあり清楚な空間でもあることを目指しました。設計者の頭の中では、この空間の全てが白の漆喰で出来ています。そこに機能が考慮され、部分的に素材が置換されました。床は、汚れにくくするために白の自然石+トップコート。洗面カウンターは漆喰の磨き+蜜蝋仕上げ。扉とその小壁はアクリル障子紙を全面に用い、トイレ内の自然光や照明が、薄暗い廊下を照らすように考えました。

totoリモデルコンテスト応募書類提出文章より