ティア・季節の光そそぐ店

敷地:熊本県熊本市辛島町2-1 パスート24 1F

用途:自然食レストラン 

延床面積:改装面積243.32(73.7坪) 

内壁+天井:漆喰天井+赤土壁(ボード下地)

床:黒モルタルのコンポジション仕上げ

設備:冷暖房=天井カセット方式/都市ガス

工期:2007/03/27〜2007/5/2

工事費:約2650万円(イス+テーブル込/消費税別途)

設計担当:高木正三郎

施工:株式会社新栄建設

 

土や木や紙、竹、鉄、場合によっては真鍮やアルミ。自然素材というと、あまり的を得ていないかもしれない。ガラスも良い。意図的に採用している素材を挙げるより、なるべく避けている素材を挙げる方が早いかもしれない。それは、プラスチックであり、メラミン化粧板であり、合成樹脂塗料である。そういうシュギを客観的に見るならば、あることがらを神棚に祀り、ひれ伏すと言う意味において、原理主義的であり、教条的である。そのようなある種の明解さは、一部に狂信的な支持を得るかたわら、実は思いの外普遍的ではない、ということを諸物のことから感じるようになってきた。 ティアは98年に熊本に生まれた。「土に命と愛ありて」の頭文字を取っている。その店名が示すとおり、(自然を代表するという意味で)大地が人間のために差し出した食物をそのまま有り難く頂こう、という理念を持った食堂である。食物にカロリーや栄養素という科学では捉えきれないものを見ようとする。すでに食の世界では、常に話題を提供し続けている元岡健二氏による、ブッフェ形式の家庭料理を食べさせる自然食レストランである。彼が10年掛けて工夫し改良しながら育て上げたスタイルだ。その間、多くの「マネ」が日本中にはびこった。私たちが知っている「食べ放題の自然食」の多くはそれである。もちろん「マネ」であっても続いているなら良いだろう。しかし多くは現れては消えた。創始者と、追従者の違いがあるかもしれない。始めに作りだした者には、なにがしかの理念がある。追従者にも、理念の生まれる余地があるはずだが、大抵は卑近な事柄に持続心を奪われがちである。もう一つ、テイアが創始たる盤石さをもっていることがある。運営にあたっては、上記の基本的な理念を大事にしつつも、それが利用者にとっては押しつけ的な表現になっていないところだ。ぐっと内部にこらえている。基礎がしっかりしていて、見えている上は軽い、という構造だ。 当事務所のデザインは、もしかすると原理主義、教条主義の脆さに対して、微妙なさじ加減を要する立ち位置にあるかもしれない。そのさじ加減とは「下実上平」つまり、見えない下部構造を充実させ、上部は平然と振る舞っておくということである、ということに気が付いた。熊本本店のさほど遠くないところに、テイアの家族を作るにあたってご縁を頂いたのは、そういうデザインを求められたからに他ならない、と思った。