この建物の根底には、あらゆるものがガスや電気に支配された現代の生活から解放された、しがらみのない自由な暮らしのために、

本物の自立を目指したいという施主の要望があった。

旧西有田町という土地は、有田焼の歴史よりも古くから、農地を開拓し自立した暮らしを営んできたという歴史がある。

空調設備を用いずとも夏は涼しく、冬は暖かく、自然エネルギーを無駄なく大切に使えることができないか、のヒントを登り窯や竪穴式住居に見出し、

傾斜敷地に直行して埋め込まれた形姿の建物となった。

 

 

 

天井は、障子紙が貼られるのを待っている。ベニヤの壁は、型枠なので、これもまた外されるのを待っている。外部面から版築壁が構築され、断熱のための土盛りをした暁には、取り外され、内部に地層の壁が立ち上がって見える。

言うまでも無く、完成させるのは、施主による自力施工に寄っている。

建物内部は欄間を介して一続きであり、床は、斜面に沿って全4段の構成となっている。北側の上部2段は、一家の寝食の場所となる。

最上段より、建物内部を見下ろす。

灰色の床は、木毛セメント板25t。五右衛門風呂廃熱利用による簡易オンドル。

最下段(1stフロア)に予定しているオンドル客室(民泊、あるいは農家民宿として)の未来予想図。

施主の限られた予算内では、今回工事に組み込むことが叶わなかったが、ゆくゆくは宿を営みながら資金を調達し、

日の目をあびることを待ちわびている。

便利さから得られる今の自由は、なにかの不自由と引き替えになっているのではないか。

当面の不自由を受け入れた先に、果たして本当に自由な暮らしがあるのではないか。それを確かめようと、住み手が建築と手を組み挑戦している。

薪料理と宿屋が完成した暁には是非足を運んでいただきたい。