宮前迎賓館 灯明殿

宮前迎賓館 灯明殿

カテゴリ
新築
敷地
福岡県福岡市博多区
用途
集会場(結婚披露宴会場)
建築面積
323.36平米(97.6坪)
延床面積
1232.17平米(371.2坪)
構造形式
鉄骨造
設計期間
2017/1〜2021/10
工期
2021/11〜2022年末
設計監理
設計+制作/建築巧房
設計助手
木下 知
構造設計
Atelier742 高嶋謙一郎
設備設計
RISE設計室 中田昌宏
施工
九州建設株式会社
宮前迎賓館 灯明殿

この建築は、デザインの成り立ちの大枠を、立地に縁っています。敷地は櫛田神社の北神門(旧冷泉小学校側)のすぐ脇、歴史を紐解けば、かつては境内地、つまりは神域であったと考えるべきかもしれません。
そのような場所に、人々が集う場(=建築)を設けるにあたり、神社、境内と風景として一体であることは、必然でした。まずは大枠のかたち。密接する北神門の屋根のラインを灯明殿の屋根として受け継ぎ、リズムカルに連続させています。そして、この神門にも刻印され、日本建築の屋根の妻飾り一般である「懸魚」が、レーザー加工によるステンレスを用いて、灯明殿にも転写されています。魔除けや火除け、願いのかたちです。

灯明殿は建物全体として、境内に灯を捧げる建築でもあります。灯明=神仏に祈りを捧げる=そこから『灯明殿』という名前が自然に生まれました。
夕暮れになると、ガラス壁の内側に敷き詰められた障子戸から透過する光が、境内を灯します。只々風景を占有するボリュームでなく、むしろ、境内の点景として溶け込もうとしています。

また、神社の周辺地域は商業の町博多と言われる中でも、ものづくり=職人の町でした。旧箔屋町(現店屋町)は、小鍛冶屋や箔屋などの小金属系の職人町で、そこから博多鋏が生まれました。旧赤間町や旧櫛田前町(現冷泉町)は指物師や宮大工の町、そこから木彫作家の山崎朝雲(1867-1954)さらに弟子の富永朝堂(1897-1987)が生まれました。今日の私たちは、当時の職人町としての博多の暮らしや伝統技術、工芸を、神社参道の「博多町家ふるさと館」で回想することができます。

灯明殿は、このように未来に伝えたい地域の歴史文化を、これからのものづくり(=職人技術)として伝えていこうとしています。大工、建具、左官、鉄工などの建築を作る基本的な技術に始まり、博多水引や、山笠、布の現代アート、他、博多~福岡~九州の地縁所縁ある、今に生きる作り手を通して、素材と技術がここに集結します。今日の建築産業による量産的な生産システムを用いつつ、人間による製作物(=アート)が象嵌(ぞうがん)されています。
歴史を顧みつつ、歴史を創造していくような、場所となり、地域となっていくような建築となれば、の願いが込められています。

宮前迎賓館 灯明殿

「宮前迎賓館 灯明殿」の公式サイトが立ち上がりました。
完成予想の青写真は、こちらをご覧ください。

https://www.tomyoden.com

そのまえ