2023. 3. 1 permalink
入江のさざ波3
3Fの「入り舟」と名付けられた部屋には、突き当りの壁一面に木彫が掲げられている。そのまえ記事(2022/6/8)入江のさざなみ1
本来なら、富永朝堂の木彫に捧げる、という趣旨なのだから、それに次ぐ現代の木彫作家が、自ら構想し、自らノミを振るう、というのが、自然な流れなのかもしれない。しかし、最終的にこの建築はミュージアムではないから、もう少し自由に考えてもいいのではないか。作家を主人公とする手前に、建築の職人さんたちに励起してもらわねばならないのではないか。建築設計者が形を考え、大工さんが木を彫る木彫壁画を目指した。
設計者は、この壁画の向こうに、その入江を想像しながら、Vectorworks上(3DCADアプリ)でw30×d75×h1200×100本を格子状に並べて、そのモデルを削り出す。何度も「2D編集」と「3D生成」を繰り返しながら、ああでもないこうでもない、という感覚的な作業を続けた。注意したのは、無数に先行する機械力を匂わせる類のものではなく、人間がここのためだけに一枚描いた、絵のように見えること。終わりの無い作業に区切りをつけたのは図面催促が来たタイミング。出図作業に移る。大工さんに渡したのは、上記角材に出来た一本一本の削り出しラインの原寸図100枚。そこから先が、大工さん登場、となる。2022/10/19そのまえ記事「入江のさざなみ2」