2023. 9. 27 permalink
床スラブのヒビ
「そのまえ」に二度登場した、HTCスーパーコンクリートの「そののち」写真は2023/3月に実施した内覧会。200名弱の建築系、その他、ネット上での情報公開して、足を運んでいただいた方々から、さまざまな質問や意見の中から、改めて学んだことがあった。
「RCスラブにクラックが全然入っていないのはなぜか?」これは、もちろん、施工時、田畑工業(磨き施工者)の責任者が、最初に指摘したことではあった。そして今回、名古屋から左官工務店を経営する仲間が駆けつけてきてくれて、彼からも異口同音。その場に居合わせた熟練の建築家、現場に関わった職人たちもしばし床を見つめる。RCスラブには、RC造、S造の別なく、ほぼ確実に初期的な大小のクラックが入るとのこと。特に職人たちの目は、常にそれらを拾い続けてきたから、この現場にそれらしきがないことに、途轍もない関心を寄せた。
私が答えられた理由は、二つだけ。一つは、このコンクリート床は、打設前に入念な打ち合わせをした。元請はもちろん、生コン業者、打設業者(土間屋)、磨き業者を交えて、ガラスのスクラップの研ぎ出しがメインの議題だったが、生コン業者から、粗骨材が選べると思わぬ提案があった。これが要であったかもしれない。白と黒の二択。色の違いだけでなく、白はなぜか、クラックが入らないという。ほぼ迷わず、白を選択した。
そして、もう一つは、これは憶測も含めてだが、基本的な構造の剛性がきちんと取れていること。全面道路は、そんなに大きくはないが、普通に車が行き交う6m道路である。元、砂丘であったこの地面は常に振動をしていると考えると、RCの床は、クラックを得やすい条件なのではないか。床をみて、この建物の構造性能を想像することにもなった。