2024. 11. 28 permalink
熟練の大工さんに、今までで一番大変だったと言わしめた階段がようやく完成した。
この階段は、桁の下側がそのまま外部になるため、120角の桁を巾接ぎした分厚い板(名付けて「桁板」)を外壁と兼用し、そこに踏み板を乗せていくような構成である。桁板は両端を固定しつつも、たわみを抑制するため、互いに、雇い実+エポキシ接着剤、コーチスクリュー、寸切りボルトを併用して固定し、ガッチガチの一枚の板になることを目指した。
これに加え、大工さんアイデアで、反りの出た角材をあえて選定し、上側にむくりをつけるように使った。木の素性を生かした構造である。当然現場に運び込まれた角材の反り方は一本一本異なっていた。
取り付けは現場施工で、端から一本づつ行った。角材の反りに上から荷重をかけて一旦水平にし、そのままスライドさせて雇い実に噛み合わせる、というちょっと頭では理解できない離れ技が繰り広げられ、時間はかかったが、ピシャリ納まった。流石の一言。
少し残念なのは、この現場に若い大工さんがいないこと。職人不足云々は散々言われているが、とにかくここにある知恵や技術が取りこぼされていくのはあまりにも勿体無いので、現場張り付き系設計者として、鮮明に頭に焼き付けておくことにする。
米満光平