背板をつかう 2023〜

背板家具の集合写真2025 <楽只庵> 

背板をつかう 2023〜

2025 エコプロ展示(福岡県酒造組合)
2025 アペロの会(楽只庵)
2025 窓計画展(東京) 銀座ギャラリーせいほう / 大谷美術館
2024 窓計画賞神戸展<背板を使う〜一連の作品>
2024 福岡デザインアワード ノミネート展示「背板ライト」

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背板をつかう 2023〜

背板をつかう意味とは?福岡県八女の製材所「八女流」見学をさせていただいた時に、フローリング材を切り出す前の、原木に出会った。直径500ミリに近いものもあるような、いわゆる大径木。今の日本の山林には、このような大径木が伐期に来ていて、山で有り余っている状態であると言われている。その情報が当にここに現れていると思った。材木市場では、Φ200程度の小径木の方が、単位堆積あたりの単価が高いという。理由は、木造用の柱120角を木取りする際に、Φ400の大径木よりも、「歩留まり」がいいなどのいくつかの理由があるという。一方フローリング材は、160w×35tの製品断面であり、丸太辺材のぎりぎりまで、使える。材木市場で売れ残って余っていて、単価も安いなら、当然大径材を仕入れることになるという。

それでもなお、辺材は余るのである。一方の面が丸太の背のままの丸い材を背板という。通常は、チップになって、バイオマス発電の燃料として、あるいは、パルプ原料として、関連企業が引き取ってくれる。材料に僅かに値段がつくが、運送費用、その他チップ加工にする設備損料で相殺されて、背板の部分からは利益は生まれないこと。 しかし、見れば、まだ使えそうな肉(辺材)が残っている。さしずめ、スーパーの肉や魚コーナーの脇にある「端肉」のようなものである。

野菜でいえば「ヘタ」あるいは「切り落とし」。これらの部分を捨てずに、手間をかけて、人間の胃袋に届けようという、マクロビオティックの料理がすぐに思い出される。マクロビの創始者桜沢如一(さくらざわゆきかず)は、「自然に敬意を払い無駄を出さない」ということを料理の中心的な考え方に据えたとされる。例えば大根の皮・尻尾・葉までつかう、玉ねぎの外皮は出汁(色付けにつかう)、ブロッコリーの茎を細切りにして活用、人参の皮や先端もスープ・きんぴらに、といった具合にである。「生命体は一つのまとまりであり、丸ごと食べるほど調和がとれる」特に野菜は部位で陰陽が変化するため、端の部分(先端=陰/根元=陽)まで含めて使うと全体のバランスがとれる、という。 料理法と同じように、山で育った自然の木を用いる木造建築にもほぼ同様のことを当てはめることは、思想上できそうではある。しかしながら思想哲学の範疇だから、賛否が分かれるところかもしれない。

より客観的な知として言えることは、設計と施工サイドの工夫によって、お金にならない背板部分になんとか値段がつけられないか、ということである。わずかでも実質的な値段がつくことが、日本の林業における、川上~川中に関わる人々を、まずは精神的なところから支えることができないだろうか。もちろん、これを使うことによって、デザインの可能性が拡がる、という川下での土俵としても捉えたい。さらに、いうなら、もし、背板を建築や家具などの比較的長寿命なものに用いるなら、紙や燃料になるよりもCO2排出を削減する方向になれる、ということもあるかもしれない。もちろんこれは、量的に普及した場合である。 背板をつかう、とは①辺材に値段をつける、ということと、②使いにくい部分に手間にかけて瑞々しいモノを作る、の二点が、目下の目標だろうか。

背板を使う〜家電隠し<ファンヒーター>
ファンヒータは、上部に操作面がある。家具ごと前に動くようにキャスターを履かせて、全体がスライドして、機器本体を操作する。
受注生産品(家電にあわせて逐次お見積りいたします。)

背板を使う〜lowbench (三子ちゃん)

250919新作です。畳の部屋で、正座が辛い方用に、低いベンチを作ってほしい、というオーダーに対して、「背板」で応えました。スタッキングしてほしいの要望には、かぶさるというより、重ねて、高さが変えられる、ということで応えました。白くて木目の美しい背板の素材感が清々しい、と評判です。各所踏み台にもなりそうです。 250919
w510×d340×h155 ×3台 (¥30000/台 完全オーダー品)

背板を使う〜ハイテーブル&ハイスツール
スライスされた背板材で構成されたハイテーブルとハイスツールです。スケスケであることから、屋外でも水が溜まらず使いやすいと思い、耐水性のある塗装や接着剤を用いています。もちろん、経年での退色は、ゆっくり進みます。テーブルの二段目には、ソーラーライトなどを設置して、夕方以降灯篭のようにもなります。スツールの下段は、足掛けの高さです。

背板をつかう〜スツール三兄弟B
sh=470、420、370 の3段階の高さでワンセットのスツールです。それぞれ、背の高い人〜子供用、と思って作りましたが、普通の大人でも、短時間座るには、案外、どれでもいける感じです。背もたれは、腰上を支える程度のものです。束ねたら、片手で持てる、仲のいい兄弟です。
三兄弟Bというからには、Aがあります。丸太のR(まあるいカーブ線)をどうつかうかの違いで、座面の形が違うだけです。

背板をつかう〜座布団チェアー2025:お手持ちの座布団を置いて、椅子となる。写真は井草の座布団。背もたれに背板を用いている。自然のカーブが背中を受け止める。バネで若干やさしく。/2025ギャラリーせいほう(銀座)に出展(3/10-4/10)

背板をつかう 2023〜
背板をつかう-背板ライト2024 /米満光平  /窓計画神戸展に出展(2024/6/14-7/14)
背板をつかう 2023〜
生還材の歓喜2024 /高木正三郎 <レーザーカットした真鍮板のネガと背板による衝立>/窓計画神戸展に出展(2024/6/14-7/14)
背板をつかう 2023〜
背板をつかう〜家具2024 /窓計画神戸展(2024/6/14-7/14)
背板をつかう 2023〜
2023カフェの屋外カウンター 2024清流を眺める犬矢来ベンチ(福岡大学大学院生によるデザインビルド)