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2011. 10. 9

センシブルハウス-屋上緑化する意味(3)

もう一つ、屋上緑化の可能性というか、意味のようなものが「水」にちなんでありそうです。東京都が一定以上の規模の建築に対して、屋上緑化を推進している理由は、前記省エネルギーの他に、雨水の一時保水というのがあります。都市であるほど、地面が浸透性のない仕上げ(アスファルト、コンクリート等)で覆われていて、大雨が降ると洪水になるわけです。(都市のみならず、山の保水力も能力が低下しているようです。→この震災から学ぶin行者杉)そこで、大きな建築の屋根には一定以上の緑化を行い、その土の保水力によって、洪水を小さくしようという、都市的な施策があるわけです。ですから、住宅には住宅の規模×数に比例して、同様の原理が働き、住み手の利益というより、社会的な意味合いをもつものとなります。
では、住み手にとって保水した水は、我が町へ流す前のやっかいな預かりモノでしかないものかどうかということですが、家の中でもう少し、役に立つように思います。特に夏の雨、もしくは水やりの後には、水が蒸発するときに熱を奪う、いわゆる気化熱が生まれます。この気化冷熱(潜熱フラックス)を上手く用いれば、室内の温度を下げてくれる可能性を持っています。もちろん、手放しには下がりません。植物→土→防水層、の次に普通は断熱材があります。なので、水の蒸発、もしくは夜間の放射冷却により仮に土壌が室温より低くなっても、冷熱は断熱されてしまい、潜熱フラックスは室内に及びません。この断熱材を、有効にしたり無効にしたりする構造を仕組むことができれば、夏の有効な時間だけ、積極的に気化冷熱を室内へ取り込むことができます。屋上緑化には世間一般で叫ばれている断熱効果だけではなく、水を介した冷熱効果の可能性が秘められているということです。
その水やりについては、土壌が乾燥してきたら、自動的に散水するシステムが今では比較的安価にできるようになりましたが、もう一つ、原始的に、雨水をタンクなどで貯水するというのもいいかもしれません。自動給水に植物の生命力を担保してもらいながらも、時には、愛犬に餌をあげるのと同じく、柄杓で直接に植物に水をやるのもいいかもしれません。タンクはもちろんポリでもステンレスでも良いと思いますが、素焼きの瓶鉢などであれば、粋の領域でしょう。金魚を買う、もしくはホテイアオイを浮かばせる、など、ちょっと楽しめそうです。

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