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2012. 12. 27

第139(日)落葉の議、(日曜待てず私観)

本日、中古マンションのいわゆる、世に言う「リノベーション物件」の引き渡しがあった。引き渡しそのものは、多少の宿題を残しつつも、後は入居者を募るばかりの話となったように思うが、問題は隣家との折衝の一抹。たまたまオーナー内見の時に、南側の隣家からおばちゃんがこちらにむかって、この樹木からの落葉の清掃について、垣根越しの投げかけがあった。「おたくの敷地の落ち葉が私の敷地に落ちています、清掃してください」 の議。ブナかナラかにわかに判明つかなかったが、きれいに紅葉というか、黄色く変色した大きな葉が、塀の向こうに、山積しているらしい。
私は、それには関係していなかったから、一部始終を眺めていることができた。しかし、私が負った仕事そのものよりも心につきささった。落葉。世によくいわれるこれは、隣人同士や行政と市民同士の諍いの種となることを、知識として知っていた。その時事を、歴然と目の当たりにした。

管理者は極めて紳士的に受け答えたが、オーナーは一部始終をうけとめつつも、その場の私情を抑え、討論を慎んだ。しかしその後、落葉は状況的に見てもお互い起こっているではないか、と疑問を漏らした。60代オーナー曰く、若い世代からの「クレーム」なら時代の移り変わりとしていかんともしがたいとあきらめがつくが、70代かそれ以上の老婆が、落葉の類で隣人同士が小言を交わすこと自体おかしいのではないかと。その世代こそが、落葉樹は落葉するのだ、という自然の摂理を若い世代に伝えるべきではないか、さもなければ、美しい葉を彩る落葉樹は都市から消えざるえない、と漏らした。そこに、私は書き留めざるえないものを感じた。ワタクシメのオーナーだからではなく、その意見そのものに同感した。世の中の感覚、もしくは人間性のようなものは、すべからくクレームに現れる。お金が関わっていればなおさら、仕事をしていれば、だれしもがその危険性や恐怖を感じながら、仕事をするのだ。
その種のクレームは当面を対処しなければ世間体が回らない。同時に、クレームの質そのものの普遍性と時代性、あるいはそこに潜む人間性を疑うか疑わないか、ここからは蛇足であり、ここからは、グレーゾーンである。しかしここに触れなければ、裁判所の手前であっけらかんと昇華できなければ、日本はどこかの国と同じ、単なる訴訟王国となり、精神的な安住地とはならない、そういう側面を、垣根越しに垣間見た気がした。

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