2021. 4. 7 permalink
今日は、この春のメンテナンス工事の打ち合わせに伺った。竣工時は、なにもない庭だったが、今では、楓が三本、まるで太宰府の光明禅寺のように、立派な楓の庭となっている。とはいえ、山田脩二さんの敷瓦の苔は、最近になって茂ってきたものである。この10年、庭師さんに植えてもらった時は、中々そのまま定着することなく枯れていたようだったが、忘れたコロに、こんなふうに、苔寺風に繁茂してきたようである。苔は、父も自宅で挑戦していたのをヨコで見ていたから知っているが、人間が人為的に持ってきた直後は、なかなか、そのまま、素直に定着してくれないことが多い。しかし、諦めて忘れたコロに、茂ってくることがある。その場所に定着するのに、潜伏期間が、何年も、あるいは十数年以上掛かるようである。人間の心は、思い立つと、直ぐに物事が現前して欲しい、ということばかりだが、この美しい繁茂を見て、苔から「気長に待っておれば、着実なものが得られるぞ」とでも言われているように思えた。