アダム計画

廃材本箱Late2023 <011-021>

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廃材本箱 230530

単純に、このような箱単位の本棚がいくつもあったら、その場に合わせて積み上げたり、移動したりと融通がきいていいのでは、と考え作り始めたもの。外形320w×370h×230dにして、25ミリぐらいの板を上下に用いたら、A4ファイルがちょうど入る寸法。始めた当時は、残り物の杉板を、わりと丁寧にトリマーで3辺溝加工して、側と背面板に3ミリぐらいの薄ベニヤを木工用ボンドで接着するという、これと決めた構成を繰り返して造るつもりで設計した。思いの外、頑丈であることも確認し、これはいけると自画自賛したりもしていた。→第186(日)杢目に魅せられる
余り物の板がなくなってもこの箱は、この設計(構成)をそのままに、家具屋さんに作ってもらったりもした。家具屋がつくったものは、やはり、寸法精度がいい。組積ユニットとしての利便性は増した。
しかしあるところで、方向転換、というか、ある意味で180度考え方を変えて、この本棚を作り続けようという節目を迎えた。決められた組み方のために材料を取り寄せて(購入して)作る、のではなく、「その時そこにある」廃材で自由に組んで量産していく方が、圧倒的に面白いのではないか。但し外形だけは、同一規格で守る。とにかくA4が入るなら、組み方はどのようでもいい。むしろ、同じ組み方はできない、というのを廃材ありきで行う。
なぜだか、俄然、やる気が増した。単純作業の繰り返しではなくなったからだろう。ここは、物を作るに関わる人間としての分かれ道であるかもしれない。同じことの繰り返しが育む完成度のようなものを愉しむ人と、見たことのないものを造る危うい製作に、不意に乗り出す人種。どちらでもいいが、どちらかに、重心を落とすことが、大事かもしれない。
まずは、320w×370h×230dの物体がちょうど仕込める治具を作り、一箱目を始めた。すぐに、手持ちの丸ノコでは、精度が出ないことに気づき、卓上丸ノコを購入。指が飛ぶ危険が倍増するが、作り続けるなら、直角精度は必須である。そして、組み材の精度を得るための治具そのものにも精度が問われていることに気づく。また、どこを保持する治具とすべきかも、毎回組み方が異なるので、理想の治具というものが焦点を結ばない。キチンと作る時は、ステンレスなどで作るべきかとぼんやりしつつも、本ちゃんの治具がどうあるべきか、がいつまでたっても特定できない。
とにかく、どの廃材をどこにどの向きに用いて、構造を担保して、全体をどのように見せるか、毎回、新しいものに取り組む難産=ドツボにはまってしまう。目の前にある木っ端のアッセンブリだから、紙の上でエスキースしたりなどせず、カケラを手に取り、脳内イメージによるエアーエスキース。頭の中の3D CADアプリが、そのマザーボードをヒートアップさせる。もしかしたら、複雑な建築設計のための頭の体操になっているのではないか。

つまりは手を動かしている時間より、頭の中でああでもないこうでもないと組んでいる時間の方が、圧倒的に長い。材料を買ってくる手間はゼロだが、木工用ボンドの硬化に入る手前の組み込み時間が、最低3時間ぐらいはかかる。概ね組み終わるまで、やめられない心理状況に陥る。外形は同じだが、よく見ると組み方が異なる本箱がまた一つ増える。そのヨロコビに併せて、廃材の山が確実に減っていることの快感も少なからず。

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