2025. 8. 8 permalink
本日は、久しぶり、筑紫野の安閑居を尋ねた。12年前当時、中国製のLEDテープライトを設置した、案の定、途中で、不具合が起きて、その取り替え。一部は、同じく、安価なテープライトにすり替えたが、屋外アプローチについていたものは、この度、LUCI製の高価なテープライトにグレードアップ。その他、左官の漆喰塗り替えや、タイル目地やりかえ、外部木製建具の再塗装などの、経年に対する原状回復工事の打ち合わせ。
それにしても、こちらのクライアントをはじめ、あらためて思うに、私どもの大工左官でつくる建築に対して、みなさんメンテナンスをきちんとされる。つまり、費用をかけられる。20年を経過していないので、感覚の異なる方々であれば、補償せよという建築主もいるかもしれない。設計時からインフォームドコンセントとして、素材の経年は説明はしてきてはいるが、メンテ費用に関する理解度を含めて、そののちの定期的なメンテナンスの依頼には、本当に頭が上がらない。こういう方々によって、木や漆喰や土や、畳や紙の類の建築素材の選択枝が成り立っているとつくづく思う。
中庭の赤土を振り返れば、12年経過したわりには美しい退色と感じた。こういうのは個人差はあるが、私は、時間の経過したモノの風景の方が、なんとなく、心に刻まれる。モノが一定時間を経たことによってか、モノの重みというか存在というか、そういうモノの原物質的なものが現前していることの心地よさを感じる。
その帰り道、ひさしぶりに歯医者へ。左奥の奥歯を2年前、半分に切って、なんとか維持してきたが、今日の診察で、もうこれは抜くしかないということに。顎の力がどうも強すぎるらしい。咬めなくなったのが、ほぼ2年前だと先生に伝えると、その時来ていれば、処置する方法があったかもしれない、と。自分の体のメンテについては、私のクライアントのテンションを学ばねばと思った次第。主治医曰く、抜いた後は、そのまま空間ができる状態よりは、インプラントで埋め合わせた方が、顎の力に歯たちが耐えやすくなるけどと。「建築だってそうでしょう、柱一本より2本、2本で支えるより4本、の方が、耐震性が増すでしょう?」私の職業を知らずに挙げられたこの例えが、高額メンテナンス決行の、決定打となる。