2026. 6. 13 permalink
セカンドクライアントの登場
昨年、2025年の夏前に、この家のクライアントから連絡があり、久しぶりに出向いた。数カ所の修繕をしてほしいということだった。竣工から15年、快適に過ごしています、のお話。ところが、この家を実は、売りに出しているという。理由はお身内の都合により、駅近のマンションへの移住が必要になったといわれる。建築当時は、終の住処のつもりで建てたのだが、とても惜しいが、仕方がないと。確かに、人生、しかも家族の頭数の分だけ、人生の展開は目まぐるしいことは、私にもわかる。だからせめてこの家を気に入って住んでもらえる人に巡り会えたら、ということで、その気分を分け合った。
すぐさま思い出したのは、福岡R不動産のこと。最近は、ずいぶん、古家を用いることを前提にした取引も多くなったようだが、まだまだ、古家を壊して土地だけを所望する市場の性格は、根強い。その土地に建っている建物を第一に思い、伝える不動産屋といえば、福岡R不動産に売ってもらうのが一番いいですよ、と口添えした。
すると、クライアントは、「そう言えば、それらしき不動産屋さんから、なにやらダイレクトメールが届いていました。半信半疑でしたが、高木さんがご存じのところなら、安心ですね、早速、お願いしてみます」ということだった。
それから2週間もおそらく経たないうちに、「売り手が見つかりました」の返答をいただく。やはりR不動産がつないでくれた模様。それにしても早い。他の不動産屋が売買情報を先行公開すること1ヶ月?、それらを出し抜いて、Rが販売競争を追い抜いた。(さらに言えば、その数週間のうちに複数の内見問い合わせがあったという)そして、また2週間も経たないうちに、今度は買主の方から直接電話をいただく。つまり、次のクライアントである。家に対して、セカンドオーナー、サードオーナーという言い方はあるかもしれないが、設計者からその家の主に対して、ファーストクライアント、セカンドクライアント、というのは、あまり聞いたことがない。つまり、家を中心に、都度の家主に対して、元の設計+施工者が関わり続ける、という歩みである。仮に、歴代の家主(持ち主)によって家が使われ続けたとしても、設計者や施工者が固定されるというのは、そう頻繁にあるものではなかろう。こういういうふうにして、家が変化しながらも、生き続けるというのは、実に愉快でたのしい出来事と思える。 この家は、一部、展示機能を備えることによって、新たな空間として生まれ変わろうとしている。
