2023. 5. 11 permalink
今日は、室内の一枚天井を合計8名で、一気に塗りあげる日。菓子をつくり、売る空間なので、漆喰には、麦ワラを練り混ぜる。(饅頭屋であれば、米ワラだったことになる)左官の山口さんが、地元の農家の方に掛け合って、佐賀産の麦わらを手に入れてくれた。麦ワラの長さは三段階に分けてもらい、3センチほどのものを最大にして、中、小、と最後はスサレベルの細かさに調理してもらった上での、大変な下ごしらえをした上での、今日、塗りの本番。この麦わらの3段階のグラデーションを、天窓から、減衰させる、という塗り分け。だから、8名は、3種の材料を同時に塗り分けて、20m超長の天井を塗り進める。これが塗り終わるまでは、彼らに昼飯はない。
現代の左官仕事は、インスタントラーメンさながら、下ごしらえゼロの世界(プレミックス製品)で成り立っているから、お好み焼き的応用無限の技術であるはずのものが、非創造的なものづくりの職種と化しつつある。そこを、ゼロから、ラーメン出汁の煮出しから始めるに等しい手間、をかけてくれる左官は、個人的に、いや、世の中的に大事にしたい。こういう職人が、都心部にではなく、地方に散在していることが多いと、ちょっとまえから、思っている。