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2012. 8. 29

センシブルハウス-「外気を取り込むべきか否かの究極の選択」

昨日と今日は、雨の日でした。そして、秋雨とはいいませんが、夏の熱帯夜からも、すこし免れたような2日間でした。またそれに付随して自宅で発生したちょっとした問答から、湿度と温度、そして快適性について、すこし考える機会ができました。

昨日、日中はそれなりに暑かったのですが、夜、11時を過ぎた頃から、雨が降り始め、涼しくなってきました。24時頃、仕事から家にもどり、お風呂に入って、エアコンで締め切っていた窓を全開すると、家内から、開けるなの指示。湿気が入るではないかとのこと。理屈では、雨が降っていて、湿気が入ってきそうなのは解ってはいましたが、肌身には明らかに涼しく心地よく、そのまま自分は、知らんぷりで床に伏しました。明け方、家の窓はまるで自動ドアのようにすべて閉め切られていて、蒸し暑くて、06:30に起きてしまいました。

夏の間、昼でも夜でもよいですが、雨が降り、湿気が多いけれども温度の下がった外気をとりいれるべきか、遮断すべきか、屋外環境派としては、迷うところだと思います。(エアコン派にとっては、悩むところではないでしょうが。)そこで、昨日に起こった究極の選択を、少し科学的に解いてみようと思います。

気象庁のデータで見ると、昨日の24時(福岡)は26.6度、湿度は84%でした。この二つの変数から、不快指数を計算すると、79.44でした。これは外気の状況ですが、同じその時、我が家の室内は、28.5度、67%、結果、不快指数78.7でした。外気を取り入れるべきかどうかを不快指数のみで判断すれば、取り入れた方が、身体には心地よい、ということになりそうです。

別の視点で、絶対湿度を比べてみます。私たちが普段湿度と言っているのは、相対湿度で、これは、空気中に含まれる水蒸気量が同じでもその気温が変われば、パーセントが変わります。それに比べて、単位体積あたりの空気に含まれる水蒸気の絶対量を絶対湿度といいます。これは、普段の私たちは扱わない数字です。が、これを昨日の屋外、室内で比べると、室内は19.23g/立米、屋外は21.67g/立米ということになります。ここだけを見れば、屋外の方が、やはり空気に含まれる水蒸気量が多いので、シャットアウトすべきではないか、ということになります。

アメリカで見いだされた「不快指数」という統計に根ざした人間感覚に近い評価と、水蒸気量という、単純に計測される物理的なものが、互い違いになっていて、結局、この究極の選択は、どちらかの一方的な勝利とはならないようですが、どちらの数字を我が肌身の根拠とするかは、大きな分かれ目のような気がします。エアコンがあれば関係がない話ですが、秋も近づくと、窓を開ければ涼しげな鈴虫の声なども聞こえてきて、これまた、悩ましい選択の要素が加わります。住宅の構想者にとっては、よく言われる相対湿度だけではなく、絶対湿度の概念も考えながら、さてなにが答えだろう、と悩むこと自体、家作りの奥行きを感じる愉しい部分だと気づかされます。

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