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2012. 4. 1

センシブルハウス-「無垢材+無塗装」

イメージトレーニングとは本当にバカにならない。現場の職人達の手先を見ていると、なんだか自分でも出来そうな気がしてきて、大工や左官の小さな仕事にトライすることになる。その頭の中がいよいよ煮詰まったある日曜日の朝、自宅の脱衣室約一坪弱にナラのフローリングを貼り始めた。貼り進めること約3時間、一応なんとか様になったようであるが、貼り始める向きと、フローリング材の向き共に間違っていたことを痛感、また、端部の切りつけ(すきま)も、職人の仕事としては明らかにNGグレードのできばえに気づく。初めてだから仕方がないが、改めて職人は精度とスピードでもって職人であることにも気づく。
それはともかく、世の中の床が、カーペット時代を終えて、木のベニヤ床の時代を経て、無垢材のフローリング全盛となっていることは、設計者であれば誰でも肌身で感じている。その無垢材も、広葉樹系はどんどんピースが小さくなり、集成材化しているという材料側の変化もあるが、それとは別に表面塗装として、表面に塗膜を張るウレタン塗膜から、ワックス系や植物油系の浸透性を持った仕上げへの趣向もずいぶんに(それこそ)浸透してきたように思う。
さて、張り終わったナラの無塗装、無垢材のフローリング、ここで亜麻仁油を塗ってしまっては、自宅という無条件の実験場のポテンシャルが半減する。床材の小さな歴史の成り行きを考えたら、ここは、無塗装のままという実験もいいかもしれないと思った。無塗装は、もちろん、かつての私たちの時代に翻る仕様でもある。蜜蝋だって柿渋だって菜種湯だって亜麻仁油だって、昔からあったはずだが、先人の多くは何も塗らないで過ごしたということを、想像してみる。場所は、脱衣室。必ず裸足になる場所。足の裏の感覚を喜ばせる一新で、無塗装。しかし、毎日、地図を描くことになる。布団に描く地図ではないけれども、決して気持ちがいいとはいえない。足の裏の感覚とは別の感覚も立ってしまう。絶妙な部分と微妙な部分が混在しているようだ。

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