2013. 3. 1

センシブルハウス-「病と利器」

I社長から突然、問いかけられました。「癌にならな唯一の臓器は?」

答えは心臓。「心臓癌」というのは聞いたことがないので、正解を言うことができましたが、理由は解りません。I社長曰く、常に筋肉で動いていて、冷えることがないから。つまり、免疫力が衰えないところだということです。免疫力という語は最近よく耳にします。風邪をひいて熱が出るのは、温度を上げれば免疫力、抵抗力が上がるからと。逆に低体温症は、免疫力が弱まり、病気への抵抗力が総じて弱まると言う感じで原理が紐解かれます。

個人的には、この冬はほんとうに良く風邪をひきました。最初は子供が保育園から貰ってくる風邪のせいにしていましたが、結局は、自らの免疫力の衰えなのだと途中で気付きました。身体が冷える、というのは、寒い環境で仕事をしているという外的環境としての気温のことではなく、身体の中身、自ら暖まらない、ということの方が問題のようです。その原因は、運動不足であったり、食べ物であったり、その他を含めて複合的に作用しているのだと思います。

運動不足は運動をする、食べ物については、身体が温まる食べ物を食べる、と、結論は単純です。食べ物はまた、漢方的な判断として、陽性(豚肉や味噌)のものは身体を温め、陰性(果物、生野菜など)のものは冷やす、など、既に私達は知識として持ってます。昔ながらの季節感ある献立は、やはり冷やす温めるが季節と合致していたのかもしれません。そうした中で最も単純明解でありながら、不可解に不合理を働いていのが、冷たい飲食物です。夏に冷たいものを体内に取り込みたいという気持ちはまだ理解可能ですが、私達はなぜか冬にも冷えた飲み物、場合によっては食べ物を食べます。極寒の外気に反して快適な温度の室内を確保した後、窓外の雪をながめながら、冷たいビールを飲みます。

現代の日本人の4人に一人は癌で亡くなるというフレーズを耳にしますが、理由は食生活の欧米化、とざっくりと言いくるめられたりしますが、食べ物の素材だけでなく、温度も関係しているのかもしれません。とすると、室内環境の快適化と冷蔵庫の普及は、癌疾病増加の一因ということになってしまいます。

少なくとも、高性能化、低価格化、の一途にある「文明の利器」を私達は、上手に距離感をもって付き合う術を身につけなければならない、そういう時代なのではないか、という気がしてきます。自ら作り出した便利なものとの冷静な関係とは、現代人の私達に科せられた高度な命題なのかもしれません。当面の利便や皮算用から家を省みるというのはちょっと前時代的で、これからは生活習慣病から、生活を省み、家を省みる、そういう順序が本当はすんなりといくのかもしれません。

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