2015. 9. 27

第160(日)ワークショップ請負業

今年は、事務所が請け負っている設計業務の工事工程の中で、ワークショップが再燃しています。7月に佐賀で美容室新装にて漆喰ワークショップをして、今度は10月に、大川でパン屋さんの新装に伴って、土壁のワークショップを行います。(土壁ワークショップ)はからずも、これら二軒の店舗のワークショップにはいくつかの共通点があります。

1.オーナーはいずれも、これまでの常識より、数段安いコストでのお店作りを希望。
2.それに従って、まずは格安で空き店舗を賃貸し、格安で空家を購入した。
3.その次にそれぞれ290万円(美容機器別)、350万円(耐震補強込み/厨房機器別)、という、破格の店舗内装費用の設定。
4.そして、にもかかわらず、漆喰や、土壁など、少し高価な仕上げの要望
5.しかし、お金はないから、オーナー自ら進んで、ワークショップ形式の採用。

設計者も安穏としては居れず、結局はワークショップを仕切ることになり、ビジネスとして成立するワークショップ請負業なるものを、考案せざるおえなくなりました。16年前に事務所開室した早々から、ワークショップ形式を行ってきましたが、変な話、プロの職人さんに請け負ってもらうと、工事費は安くなりませんでした。職人さんは、やはりできあがりに対する責任感が強いから、手間代がそれほど抜けなかったのが主な理由でした。

筆者が講師としてワークショップを預かって遂行しますが、職人さんたちと似たような責任感がないわけでもありません。しかし、コストという切実感が大前提の工事ですから、自ずとそれに見合った責任範囲に狭めながら、それ以上は施主さん自分でやってくださいと、と逃げ腰の姿勢をとるしかないという流れがあります。

設計~監理業務としては、ある種の絶妙さが必要ですが、ワークショップ形式の建設方法は、低成長時代という時代の要請ではないかとも思っています。筆者だけがやれるのだと宣うつもりはなく、むしろ興味を持たれた設計者や施工者の方々がこの手の仕組みを各地でトライされると世の中的に面白くなるだろうなと思っています。

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