2007. 7. 29

第3(日)理屈と感覚

3年前の施主さんに髪を切って貰う。HairTerraceと名付けられたそのお店のいわゆるコンセプトは、博多駅前の一等地に各階に3坪弱のテラスを抱えてそこに植物を育てようというもの。コンセプトというほどのことでもないが、溢れているかというとそうでもない。3~4万円/一坪(室内)/月の価値の土地に対して野放図にエクステリアを許す貸し主は希である。店舗デザイン(インテリア)の依頼に始まり、気が付くと3F建てを設計していた。「建て貸し」の案件、つまり借り主と建て主の二者から設計依頼を受け、一つの建築とインテリアを作ったという不思議な経験であった。
それはともかく、久しぶりの談話にはっとした。新人美容師の話。女性と男性はどっちがどうですかという私の思わせぶりな質問に対して、3年前の施主曰く、女性は感覚的に優れている子が多く、男性は理屈で学ぼうとする傾向があると。女性は技術やデザインの習得が早い人が多いが、最初のころは優等生だなどともてはやされていた者もある段階でその成長が止まってしまうことがある。男性は初期に女性同僚の背中を見るような日々が続くが、筋がいい者はその成長が止まらないという。理性と感性。右脳左脳。技術と意匠。男と女。どんな世界も根っこは同じである。建築も当然のことながら、それらの双方で成り立っている。若き村野藤吾が、機械学科から建築学科へ転入する際に、当時の主任教授に尋ねた「建築をやるには何が必要ですか」の答え「文学と数学である」との答え

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