2026. 5. 5 permalink
ゴールデンウィークの一日を用いて、「放射冷却実験棟」の外壁下地塗りを実施した。スタッフのノミヤマ君には日当を約束して、きっかり8:00スタート。下地はジョイントV。この実験棟は、基本的には、2023年に鉄の彫刻家中西秀明さんに、制作していただいた、「大気の窓」という、窓計画展出展作品の放射冷却性能(®️スペースクール使用)をそのまま、流用し、実際の寝室として、実験してみる、ということが主たる目的である。「棺桶」と皆に呼ばれた、人一人が内部で寝ることができる、文字通り「棺桶」を6畳に満たない増築空間の屋根に載せる。その直下に、寝台を設けて、そこで夏に寝る。もともと、2023年制作の「棺桶」も実際に一晩寝てみるために作ったのであるが、ついぞ今まで、一晩そこで寝る、という勇気の持てなかったものだった。理由は、比較的簡単で、そのまま死んでしまうのではないか、という形状に自ら入っていくのが、心理的にむずかしかった。というのと、自宅の敷地の中でふさわしい設置場所がなかった、というもの。夏に生い茂る木々の下や、建物の隙間に埋没するような位置では、放射冷却は発揮されないからである。
今回は、もう少し、空の面積が大きくなる位置、しかも、棺桶空間ではない寝台に寝ることができる、ということで、より実験者の動機を高められるという目算である。
さて、この項では、そのことは副題であって、殊、外壁のことである。これは、放射冷却に関わるものではなく、むしろ、住宅一般に通じる、基本的性能についてである。在来の木軸(大工:新谷薫)の外側に、合板を貼りこみ、その外から、カネライトフォームFX(高性能ポリスチレンフォーム断熱材)50t(熱抵抗値=2.27㎡・K/W)をビス打ち、その上に今回のジョイントV塗りつけという仕様。木フレームは全て105角だから、合板より内側に、100ミリの荒壁を装填できた。(土塗りは別項で執筆予定)現代工法としては、荒壁の真壁塗りは滅多にないものだが、この蓄熱性能と、吸放湿性能は、割高であっても現代人が買うに値するのではないか、という提案でもある。厚みが厚すぎても意味がないのではという疑問があるが、荒壁は、当然ながら、バキバキ割れることによって表面積は大きくなるので、そのワレすら、吸放湿性能に寄与させたいという願いである。厚み方向はまた、湿度の日較差というより、季節間の「季格差」の調整につながっていく。今日の省エネ基準に対して、壁部分においては1.3倍もの断熱性能にて外断熱とし、内側の土壁の蓄熱性能をフルに引き出し、室内温度の安定を図る。
開口部は、木製建具(大川の建具職人石橋さんと中村さん)、また冷房設備を用いない夏用の室であることがら常時通気口もあり、低機密/高蓄熱/高吸放湿/住宅、のモデルハウスとして、今後その効果を確認していこうというものである。
